HONKOMATSU ISHI

牛久大仏

本小松石

悠久の時を超えてゆく、
灰青の美。
大地の鼓動から生まれた本小松石に宿る、
永遠の気配。

私たちはなぜ、
物言わぬ石に心を重ねるのでしょうか。
木々に抱かれ、土に包まれ、
動かず、語らず、ただそこにある石。
何十年、何百年という時を超えて、
人の歩みを静かに見守り続ける存在。

私たちの一生は、喜びと悲しみ、
出会いと別れに満ちています。
精いっぱい生きてきた、尊い時間。
それはまぎれもなく、輝く人生でした。
しかし、永遠の時の流れを想う時、
それはあまりに儚く、
束の間の夢のように過ぎていきます。

石は、命あるものには届かない
「その先」の風景を見てゆくでしょう。
悠久の時を軽々と超え、
生きとし生けるものの営みを
静かに受けとめながら。

私たちは、そんな寡黙な「石」に惹かれ、
想いを託します。

特別な佇まいを持ち、
「日本の銘石」と称される石があります。
深い灰青色に、淡く差す緑と青み。
気候や温度に呼応して移ろうその石肌は、
年月を経るごとに、より深く、柔らかく、
風合いを増してゆきます。

それが、本小松石です。
約四十万年前、
箱根火山の溶岩から生まれた安山岩。
神奈川県・真鶴の荒々しい海岸の岩場から
掘り出されたこの石は、
火と水に鍛えられ、
風雨にも、熱にも負けない、
しなやかな粘りを持っています。

その堅牢さと優美さゆえに、
江戸城や小田原城の石垣、
鎌倉・鶴岡八幡宮の
石造物にもその名を刻み、
徳川家康をはじめ、
数多の武将や文化人の墓所にも
数多く選ばれてきました。
伝統と格式が息づくその佇まいは、
他にはない存在感を放っています。

想いを込めた石に向かい合い、
私たちは今は亡き大切な人たちに
語りかけます。
その姿を見ること、
触れることができなくても、
近くに感じられるのはなぜでしょうか。
大切な誰かを想う時、
私たちは心の翼を広げ、
時空を超えてゆくのかもしれません。
本小松石は、
私たちが自分の内に持っている
無限の世界へと繋がる扉。

いつの日か、私たちもそこへ行き、
誰かが迎えに来てくれるのを
待つのでしょう。
時を隔てても、本小松石は形を変えず、
そっと寄り添い続けます。

鶴岡八幡宮

本小松石のお墓

Grave of Honkomatsu Stone

日本

MADE IN JAPAN

本小松石は
神奈川県・真鶴半島で採れる安山岩で、
研磨すると艶が立ち、
緻密で上質な表情を見せます。
年月とともに風合いが深まり、
時を重ねて美しさが増していくのが
大きな魅力です。

本小松石

神奈川県 真鶴半島

本小松石

1.20m² 本小松石+インドグリーン

小松石

真鶴の地で、石材業が始められたのは、平安末期の1156年頃と言われています(「石工先祖の碑」(真鶴町指定文化財)に記されています)。当時は「小松石」ではなく「伊豆石」「相州石」と呼ばれていました。「小松石」と呼ばれるようになったのは、江戸時代、芝・増上寺(浄土宗)の石材の見積書の中に、初めて「小松石」と言う名前が現れたと伝えられています。その名前の由来は、真鶴町の旧岩村・小松山からきています。

小松山から採れる石材という意味で、「小松石」と呼ばれるようになったのですが、近年、真鶴以外の産地の石にも「小松石」の名前がつけられることが多くなり、真鶴産の石を、特に「本小松石」と呼ぶようになっています。そのため、「本小松石」とよばれ 「本小松石」は、青色・赤色・灰色の3つに分類され、青が一番高価だと言われています。

小松石