西の横綱、そして“石の貴婦人”
力と美を併せ持つ稀有な石として、
人々を惹きつけ続ける国産銘石。
愛媛県今治市・大島。
この瀬戸内の島から産出される大島石は、
西日本では「墓石といえば大島」と言われるほど
高い人気を誇り、
その圧倒的な存在感から
“西の横綱”と呼ばれてきました。
一方で、青みを帯びた上品な石肌と
落ち着いた艶は、
見る人に気品を感じさせ、
“石の貴婦人”の異名でも親しまれています。
力強さと優美さ、
その両方を兼ね備えていることこそ、
大島石の魅力です。
磨き上げられた青みは、
柔らかな光の中で凛とした艶を放ち、
墓所に格調高い佇まいをもたらします。
石質は硬く、吸水率が低いため
風雨にさらされても色褪せにくく、
百年を超えても
美しさを保ち続けることができます。
その安心感から、
代々受け継ぐお墓にふさわしい石として
広く選ばれてきました。
歴史をたどれば、江戸時代の城郭や石垣に使われ、
今治城、大阪心斎橋、愛媛県庁といった
建造物にもその姿を残しています。
さらに文学者・司馬遼太郎、
俳人・正岡子規、大平正芳元首相など、
多くの著名人が眠る墓所にも
大島石が選ばれてきました。
歴史的建造物と人々の記憶の中に、
その存在は確かに刻まれています。
瀬戸内の海とともに歩んできた大島石は、
静かで落ち着いた色合いの奥に
確かな力強さを秘めています。
力と美を併せ持つ稀有な石として、
今もなお人々を惹きつけ続ける国産銘石です。